腎臓の知られざる機能
◉代謝によって生じた老廃物の排泄◉
細胞は休みなく代謝活動を繰返します。腎臓の主な役割は、細胞代謝によって生じたアンモニアなどの老廃物を体外へ排泄することです。これは一般的に「排泄」として知られていますが、腎臓のさらに重要な仕事は「血液成分の調整」です。腎臓は血中の塩分やカルシウムなどのイオン濃度を一定に保つ仕事をしています。これにより、体液バランスが保たれ、健康が維持されます。
見落とされている重大な機能
腎臓のさらに重要な機能はホメオスタシスの維持です。ホメオスタシスとは、暑い時には汗をかいて体温を調整し、寒い時には鳥肌を立てて体温を保つなど、体が常に一定の状態を保とうとする働きのことです。この調整を行うのが腎臓です。
◉ホメオスタシスを維持する重要な臓器「副腎」◉
副腎は、アドレナリンや副腎皮質ホルモン、性ホルモンなど、100種類以上のホルモンを分泌する重要な器官で、腎臓の上に位置する小さな臓器です。例えば、加齢に伴い性ホルモンの分泌が低下すると、副腎は不足を補うホルモンを分泌します。心臓の血圧や血管の調整、血糖コントロール、ストレスの軽減、疲労回復は副腎から分泌されるホルモンがコントロールします。
集中力とストレスとホルモン
私たちは生活の中で、何かに集中している時、副腎からアドレナリンが分泌されます。これにより血圧や心拍数が上がり、交感神経を興奮させて体のパフォーマンスを高めます。
しかし、大きな障害が現れたり、強烈な集中力が必要になったりすると、アドレナリンの分泌が増加し、集中が何日も継続する様になると、エネルギーを集中させるためのホルモンが分泌され、これを「ストレスホルモン」と呼びます。ストレスホルモンは、集中力を一点に集中させるために働き、必要な部位以外への血流を抑えたり、免疫力など緊急性の低い機能を抑えるなどの働きをします。
例えば、狩猟時代に目の前に熊が現れた場合、この危機に対して逃げるか戦うかの判断に必要な集中力や筋肉のみに血液を流し、交感神経を興奮させ、次の行動に集中します。火事場の馬鹿力はこの仕組みによって生まれます。この時、緊急を要しない部分への血流は減り、免疫力は低下しています。
スポーツで時々問題になる「ドーピング」もこの仕組みを利用し、特定の筋肉だけを発達させたり、興奮状態を保つためにホルモンを利用します。
医療の世界でも、痛みを止めたり、痒みを止めたり、免疫力を抑えたりするためにホルモンが応用されています。
ストレスから副腎疲労へ
ストレス状態が続くとストレスホルモンが継続的に分泌され、血流が偏り免疫力を低下させます。臓器への血流の低下からホルモンバランスを崩し原因不明の病の根源になります。また、血行が偏ることで細胞代謝が低下し、内臓の機能不全へと繋がります。機能が低下した腎臓は血液管理やストレス管理機能が低下し、体液の調整力を失っていきます。
このような状態を「副腎疲労」と呼び、主な症状に、慢性疲労症候群、過敏性腸症候群、うつ、統合失調症、更年期障害、免疫不全、リウマチ、便秘、肥満、喘息、アトピーなども副腎疲労が一因とされると言われます。
「肝腎かなめ」で整理すると
細胞は代謝を繰り返すことで若さを保ち、機能を維持します。人体における老廃物は肝臓で無毒な状態に処理され、腎臓から速やかに排泄されます。腎臓の排泄機能は体液を健康に維持する働きです。
体にとっての緊急事態が発生すると、緊急事態を回避しようとするストレスホルモンが副腎より分泌されます。しかしストレスホルモンの継続的な分泌は血流の偏りを生み免疫力の低下を招きます。血流の低下は代謝を妨げ、「副腎機能」の低下へと進展し、これを副腎疲労(アドレナルファティーグ)と呼び解明が進められています。
ストレスを軽減することが第一ですが、一旦バランスを失った体は簡単には元に戻ってくれません。薬やホルモン治療は、肝臓・腎臓に大きな負担をかけてしまいます。
解毒と血行促進を意識した「肝腎かなめ」理論に基づき肝臓と腎臓をケアすることが重要となります。